Bercriber's Blog

マトリックス レザレクションズ

「キャトリックス」

前半はメタメタフィクション。前作ラストで平和を条件としてスミスを討伐し機械に体を売ったアンダーソン君が、再びマトリックスの中で生活している。前トリロジーの物語を題材にゲームを開発したアンダーソン君がゲームデザイナーとして成功者となっているも、前作の記憶と仮想世界上の記憶とが混雑して、疲弊した人生と非現実感などを抱えている。映画の演出としても、第一作の冒頭をなぞるような演出をしつつ、それをメタ的に捉え旧世界の延長線上にある新しい世界からの視点で物語を再構築している。元々の物語が「仮想世界(視聴者である我々にとって馴染みある普遍世界)と現実世界(視聴者である我々からすれば全部がフィクション的世界)」という構図を現実をメタっているので、第四作レザレクションズは、前三作をメタる物語となっている。

後半はネオとトリニティーの物語。ネオは平和と引き換えに体を売ったくせにマトリックスから再び脱獄し、前作からの現実世界の続きを描いている。ネオとトリニティーは強力な電力発電源として機械に生命維持させられており、ネオが脱走した一方囚われたままのトリニティーを助け出す物語。現実世界では電力不足で機械同士が戦争を始めたり、人間と機械の共存が発生し新しいテクノロジーが生まれたりしている。その中で新たな人間のコミュニティーを守るため機械世界に混乱をもたらすまいとネオのトリニティー救出を妨げる、前作登場してた新世界将軍ナイオビ。ふりかけ程度にそんな要素をあしらえつつ、サクッと物語全体の流れははトリニティー救出を舵を切っていく。サクッとネオも救世主的な力を取り戻しつつも本調子ではない。

もう50代であろうキアヌ・リーブスも流石に老けているし、無限ループ上がりで弱っているネオのよぼよぼ感もよく出ている。ちょこちょこキアヌの手が震えているように見えるのは演出かそれともキアヌがまじで不調なのかは気になる。前作のキアヌがマジイケメンすぎたのが流石に今作との激しいコントラストになっているし、キアヌの頭髪がハゲてもきているが俺の頭髪の方がヤバくて死にたい。

そして、再びネオ化したネオはティファニーという人生を上書きされているトリニティーに会いにいき真実と現実を告げ、再脱獄の選択を提示する。そこへ、たぶん、前作で言うところのアーキテクト?、もしくは機械側のホストプログラム、ネオとトリニティーを効率よく利用した新バージョンの仮想世界設計者が登場し、なぜネオが生きていたのか、なぜトリニティーまで生きていたのか、などなどをご説明タイム。つまり「もうお前勝てないシステムにアップデートしたから電池として仮想世界へ戻ってこい。そこでトリニティーと不倫でもしてろ。さもなくばトリニティー消すぞ」的な論調で煽ってきて、ネオに敗北を促す。とかなんとか言ってうだうだしてたら、機械側の内通者が「トリニティー救出の完璧な作戦があるぞ」とやってくる。前作に登場した少女が大人になって再登板。なんでも機械に親を消された復讐とのこと。レッツゴーと完璧な作戦通りにことはスルスル進み、ハイパーバトルタイム。ホストの圧倒的な力の前になすすべがないかと思わされた視聴者諸君の前に、スミス登場でなんかよくわからんけどアーキテクトを圧倒。その間にネオ達の逃走劇が始まる。なんだかんだで朝焼けが美しいビルの屋上に追い詰められた二人はネオの飛行能力の復活を頼りにダイブ。落ちていくネオは空中でもがく。一方堂々ときれいに落下するトリニティー。そして飛行能力に覚醒したのはトリニティーの方だった。そして二人はさよならバイバイし、現実へ帰還し脱獄に成功する。再びログインし、救世主的な力に完全覚醒した二人はアーキテクトを襲撃しボコり、ハッピーエンドカタルシスの実績を解除して、ありがとうを言う。「第四作目を作る題材を与えてくれて」的なメタ発言でエンディング。

さて、なぜトリニティーが飛べたのか。一応物語の中ではネオが救世主的な力を発揮していたのはトリニティーとの相互作用であったとのこと。トリニティーがいないとネオの力は十分に発揮されなかったようだ。ではなぜトリニティーとシナジーが発生していたのかというと、トリニティーもまた特別であり救世主的な力を本来持っていたという設定にしたようだ。たぶん。そうなんだね。

感想としては、過去作は何度か見返しており、子供の頃に強烈な映画視聴体験をし、今作を非常に楽しみにしていた高いハードルは十分飛んでくれたと思う。良かったね。キアヌがもうキレッキレのイケメンではないというのがロマンがたりなりところではあった。その分スミスは若返っておりスマートなあどけなさ残るイケメンとなっていて男の子ロマンみが高かった。当時映画界に革命を起こしたらしい、いわゆるバレットタイム。最近のゲームでも多様されている演出だ。スーパーホット?とかは、もはや常時バレットタイムで行動すると通常速度に戻るというシステムになっていて逆転の発想が素晴らしく良いゲームだ。なんやかんやでバレットタイム演出はロマン感が高く魅力的であるということだった。郷愁とメタメタとCGとアクションで今年一番良かった映画だった。おまけとして猫動画が一番バズるというのが制作陣も共通の認識らしい。