サイレンと犀
また読んだ。歌集の感想文は書けない。書くだけ野暮になるのでげんなりするような気がする。
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ぼくの背のほうへ電車は傾いて向かいの窓は空だけになる
- イメージ、僕以外そんなことにも気づかない僕だけの景色、世界
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完全に止まったはずの地下鉄ちょっと動いてみんなよろける
- みんなで不快な一体感が愉快
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もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい
- ちゃんと生きたくて良い
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トラフィックニュースは告げるこの夜をたしかに生きる僕らのことを
- 渋滞のイライラをイキイキと見る
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兄さんへ 高くとんでも人生は変わらなかった じゃあね (ルイージ)
- そんなことはないだろ
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死んでから時間の経った葉の方が踏んづけたときいい音がする
- 死体踏んでいい気分である状況がある
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脳みそがあってよかった電源がなくても好きな曲ならせる
- 体っていうバッテリーついてるからな
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さかさまの洗面器からざばーんと水 さよなら今日のできごと
- さよならの速さ
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母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように
- その時の心は人それぞれ
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FMのDJはなぜ雨の日を黙って受け入れられないのだろう
- 晴れだったそうなんだけど
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ここじゃない何処かへ行けばここじゃない何処かがここになるだけだろう
- 語感とリピートが心地良い
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生年と没年結ぶハイフンは短い誰のものも等しく
- 墓のフォントによりけり
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前向きなことだけの言葉を前向きな姿勢で聞いて前向きに死ね
- 前向きバカはたしかに存在する
感想じゃないぞこれつっこみじゃねえかくそ。